頬の前方

頬の前方を、脂肪注入にてふっくらとさせ、顔に若々しい立体性を持たせたモニターさんの症例写真です。 術後の写真は、約8ケ月を経過したものです。術後は、頬の前方の隆起ができただけでなく、タルミが改善して、下顔面の幅が小さくなっているのが観察されます。

頬の脂肪については、いくつかのコンパートメント(区域)に分割して考えるのが、最近の学術的な流れです。そしてそれらの加齢による変化が、顔面の形態に及ぼす影響として、顔面輪郭の老化と言うことが、ここ10年くらいの一つのトピックスでもあります。これら頬の脂肪のコンパートメントとは、頬の側方の脂肪と、頬の前方の脂肪のことです。頬に関しては、側方の脂肪は顔面の輪郭に、前方の脂肪は顔面の立体感に、それぞれ影響を及ぼします。下膨れの輪郭は頬の側方の脂肪の問題で、貧相な顔貌は頬の前方の脂肪の問題、と言うこともできます。そして、こちらのモニターさんは、頬の前方に脂肪を注入し、若々しい立体感を持たせたというわけです。

頬をふっくらさせることによって、若々しさを出すことができます。  

しかし、ふっくらさせた部分が垂れ下がるのではないかと言う不安を感じる方がいるかもしれません。これについては、前述の頬を含めた顔面の脂肪の、年齢による変化と言うのが重要な要素となります。一般論として、顔面の脂肪は、年齢とともに顔面の上半分からは減少し、下半分は増加するとされています。具体的には、額やコメカミからは脂肪が減少し、下あごの周辺、つまりフェイスラインと呼ばれるところには、増加するとされています。また、口元や鼻の周辺といった、顔面の前の部分に関しては、鼻の下から顎先にかけては脂肪が減少し、逆にホウレイ線の外側には脂肪が増加します。つまり、顔面の脂肪の加齢による分布の変化と言うのは、顔面の上のほうが減少し、下のほうが増加するというものです。そしてその例外が口の周囲で、そこだけは皮下脂肪が減少する傾向にあります。これらの法則を以て、いろいろな年代の人の顔面を観察すると、皮下脂肪のつき方による顔面に表出される年齢感というものが、納得できると思います。それは、下膨れの輪郭と、口元の痩せ、及び、コメカミや額・目の周辺の痩せ、といったものに集約されるということです。

つまり、顔面における脂肪のつき方による年齢感と言うのは、正面から見た時の下膨れ感と、頬骨のあたりの骨格感と言うことができます。  

しかし、このことは、顎の横の部分に皮下脂肪が増えるということではなく、顔面全体としては、皮下脂肪は年齢に応じて減少する傾向にあります。では、どうしてこの部分の脂肪が増加したように見えるのかと言うことになります。それは、耳の前でホウレイ線の外側という、いわゆる頬と言う部分を大きな袋に見立てると、解りやすいと思います。袋の中身が皮下脂肪で、袋の外側が皮膚だと思って見てください。そうすると、中身がたくさん入っていて、袋がいっぱいになっているときには、袋の外側にはしわもなく、一番膨らんでいる箇所も、袋のほぼ中央なのです。しかし、袋の中身が少ない時には、外側にはしわができ、一番膨らんでいる箇所は袋の下のほうになります。このようにして、こめかみから頬の部分についても、同じように年齢に応じて変化します。つまり、顔面全体で見ると皮下脂肪は減少し、そのため、皮膚にはしわが増え、顔面の下のほうが膨らんできたように見えてくるのです。

このように、軽度のタルミやシワなどは、顔面の脂肪を増やしてやることで改善可能ということになります。  

しかしその際、元の顔貌を大きく変えずに、できるだけ若々しい状態としたいということになります。また、皮下脂肪を包んでいる皮膚は、若い時とは違って、弾力性を失いつつあります。つまり、前述の例えで言えば、ゴムでできた袋が、紙袋のようになりつつあるということです。結局、「元の顔貌を大きく変えずに、できるだけ若々しい状態としたい」というのは、できるだけ袋の中身を増やさずに、紙袋をパンパンにしたいということでもあります。このように、「元の顔貌を大きく変えずに、できるだけ若々しい状態としたい」と言った場合、できる限りその希望をかなえるためには、方向性として2つの種類の処置を行う必要があります。
一つは、やはり、ある程度の量の皮下脂肪を増やしてやることです。その際、顔面の上のほうの脂肪を増やし、下のほうはむしろ取り除いてやるということです。袋の底にある中身を取り出して、上のほうについているポケットに移してやると考えると解りやすいでしょう。頬の場合だと、頬の上のほうには脂肪を注入し、下あごに近いところからは脂肪を除去するということです。
2つ目は、皮膚の改善です。これは、袋を小さくしたり、材質を強固なゴムにしたりすると言うことです。袋を小さくするのは、軽度の場合には皮膚を縮めるようなレーザーや高周波機器が有用ですが、大きくたるんでいる場合には、皮膚を切除することが必要になるでしょう。この場合、頬ならフェイスリフトと言う手術になります。

脂肪注入の手術は、腫れが大きく、1か月近くと長期に及ぶというのが、これまでの常識でした。  

これは、脂肪の生着率(最終的にそこに残る脂肪の量)が少なかったためです。これまでの脂肪注入は、顔面への注入の場合、注入した脂肪の約30から50%しか残らず、残りは吸収されてなくなっていました。つまり、生着率約30から50%だったということです。そこで、脂肪注入の十分な効果を獲得するためには、膨らませる予定の量の2倍から3倍の脂肪を注入するか、あるいは、手術を2,3回繰り返す必要がありました。しかし、注入された脂肪が吸収されるのは、腫れが退くのと違って非常にゆっくりで、その80%が完成するのに、約1か月の期間が必要です。つまり、約1か月の間、脂肪注入を行った箇所については、予定よりも膨らみが大きく、外見上はそれを以て「腫れ」と認識されるというわけです。そして、それが、脂肪注入の手術は腫れが長期に及ぶということになってしまったのです。
しかし、当院の脂肪注入の生着率は、ほぼ100%に近いもので、平均で90%以上になっています。したがって、当院の脂肪注入では、予定よりも多くの脂肪を注入する必要がありません。このことは、所謂、腫れの長期化がなく、最初から腫れないということでもあります。

限定解除要件
副作用・合併症:成長因子製剤に対するアレルギー
費用:30万円