腹部上下、それぞれの横(ウエスト)、その後ろ(腰)の部分に、当院で脂肪吸引を受けた、40歳代前半のモニターさんです。術後の写真は、ちょうど3ヶ月目のものです。手術のためにできた、カニューレを挿入するための穴が、まだ残っています。しかしこの穴は、時間の経過とともに、色がなくなり、ほとんど目立つことがなくなっていきます。
吸引した脂肪量は、液体成分を除いて、約3000㏄に及びました。その分、ウエストにはしっかりとクビレができ、かなりのサイズダウンが実現できています。
3000㏄もの脂肪を吸引すると、たるむのではないかと心配になるかもしれません。実際、こちらのモニターさんの年齢からすると、普通に脂肪吸引を行うと、外見上も明らかなタルミが出現してしまう可能性がありました。一般的に、凡そ40歳までは、かなりの量の皮下脂肪を吸引しても、皮膚の弾力性があるため、外見上のタルミが出ることは、非常に稀なことです。しかし、40歳を超えると、大量の脂肪吸引は、タルミを造ってしまいます。簡単に例えると、ゴム風船から多少の空気を抜いても、シワシワにならないけれど、紙風船だと、シワシワになるのと同じことです。
では、こちらのモニターさんでは、なぜ、大きなタルミができていないのでしょうか?実は、こちらのモニターさんは、通常の脂肪吸引に加えて、表層脂肪吸引というテクニックを使用して、タルミが出るのを防止しているからです。表層脂肪吸引というのは、真皮の直下の脂肪を吸引することで、その治癒過程で、皮膚を縮めるという方法です。その表層脂肪吸引を使用することで、こちらのモニターさんは、タルミを造らずに、むしろ実際の脂肪吸引量からすると、もっと引き締まった状態を造ることに成功しています。
脂肪吸引の、過去の鉄則の一つに、「皮膚にあまり近い層を吸引すると、凸凹ができる。」というのがあります。そして、多くのクリニックでは、それを守って手術を行って、凸凹を防止しているのが現状です。しかしその場合、皮膚のほうに残った脂肪が、その重みで重力に従って下に下がります。その時に、皮膚が一緒に引っ張られて、やはり下に下がろうとします。皮膚に十分な弾力性が残っていて、その、下に下がろうとする力に抵抗できるのであれば、タルミはできません。しかし、40歳を超えて、皮膚の弾力性が少なくなってくると、下に下がる力に抵抗できず、タルミを増強させてしまいます。つまり、皮膚のほうに残った脂肪が、皮膚と一緒に垂れ下がるということです。この現象についてですが、術後の圧迫によって、発生を防げるという説もあります。しかし、術後の圧迫については、いかに医療機関側が詳しく説明し、患者さんがその時には理解できていたとしても、どうしても不均等な圧迫によって、手術したところに段を造ってしまうリスクが、常に存在します。この段は、その中身が厚い脂肪なので、一度作ってしまうと、その後のマッサージだけでは完全には回復しません。基本的には、その部分の再手術が必要になります。
そこで、この、皮膚にくっついた脂肪を採って、タルミを造らないようにしようということが、表層脂肪吸引を行う一つの理由なのですが、これを行うことで、通常は、表面に凸凹が発生してしまいます。この凸凹の原因は、脂肪吸引の時に使用するカニューレ(管)の通り道に凹みができてしまうためです。そこで当院では、このカニューレを極細にすることで、凹みができた場合の深さを抑え、吸引終了後も、皮膚の表面の凹凸を検査し、必要に応じて、スムーサーという器具を使用して、凹凸を防ぎます。そのことで、皮膚についた脂肪の量をできるだけ少なくすると同時に、凹凸を防いで、術後のタルミを防止しています。また、通常の脂肪吸引のところでも記した、術後の圧迫ですが、このように皮膚にくっついた脂肪層を少なくしておくことで、一時的な不均等な圧迫で付いてしまった段も、規模が小さく、術後のマッサージだけで回復し、再手術に至らずに済みます。
こちらのモニターさんで、術後1か月目に発生した、不均等な術後の圧迫による「段」。マッサージのみで、術後3ヶ月目には、きれいになくなっています。